防水工事に使用される脱気筒とは？

防水工事において重要な役割を果たす部品の一つに「脱気筒」があります。脱気筒は、防水性能を維持し、建物を長く保護するために欠かせないものです。しかし、その具体的な役割や必要性については、あまり知られていないかもしれません。本記事では、脱気筒の基本的な機能や役割、さらにそのメンテナンス方法について詳しく解説していきます。

脱気筒とは

脱気筒とは、主に建物の屋根や外壁に設置される小さな部品で、内部に溜まった湿気や水蒸気を外部に排出する役割を担っています。防水層の中に湿気が閉じ込められると、膨張や劣化の原因となり、最悪の場合は防水層が破損してしまう恐れがあります。このような問題を防ぐために、脱気筒が設置されます。

建物の内部で発生する湿気や水蒸気の発生原因は、季節や天候の変化、日常生活での温度差などさまざまです。特に、気密性の高い現代の建物では、湿気が逃げ場を失い、内部にこもりやすくなっています。そのため、脱気筒を通じて効率的に湿気を外部に排出することが、建物の健康を保つためには欠かせません。

脱気筒の役割

湿気の排出

建物の防水層には、施工時や経年劣化により湿気が侵入します。それで防水層が膨らむ場合、湿気を排出せずに放置して内部の圧力が高まったのが原因です。脱気筒は、この湿気を効率的に排出することで、防水層の膨張を防ぎます。

特に湿気が溜まりやすいのが、夏場の暑い時期や梅雨の時期です。これにより、建物内部の温度や湿度が上昇し、防水層が常に湿気にさらされる状態が続くと、膨張や剥がれが発生しやすくなります。脱気筒がしっかり機能していることで、こうした状況を未然に防ぎ、建物全体の防水性能を保てます。

防水性能の維持

防水層に湿気が残ると、素材の劣化が進行し、防水性能が低下するリスクが高まります。脱気筒を使用することで、湿気の蓄積を防ぎ、防水性能を長期間にわたって維持することが可能です。これにより、建物の耐久性が向上し、長期的なメンテナンスコストも削減できます。

また、湿気が建物内部に残ることで、カビの発生や木材の腐食といった問題が発生することもあります。特に日本のように高温多湿な環境では、これらの問題は非常に深刻です。脱気筒が湿気を適切に排出してリスクを防げば、建物の健全な状態を維持できるできます。

脱気筒が必要になるシーン

新築時の防水工事

新築の建物では、初めての防水工事が行われます。この際、脱気筒を設置することで、施工中に発生する湿気を効率的に排出し、施工後の防水層の品質を確保します。特に、気密性の高い建物では、脱気筒の設置が不可欠です。

新築の段階で脱気筒の設置は、将来的なメンテナンスの手間を減らすためにも非常に重要です。防水工事は建物の耐久性を左右する重要な工程であり、その品質が長期間保たれることが求められます。脱気筒を適切に設置することで、新築当初から建物の防水機能を発揮できるようになります。

リフォーム時の防水工事

既存の建物をリフォームする際も、脱気筒の設置が推奨されます。リフォームによって新たに設置される防水層には、湿気の排出が重要です。脱気筒を適切に設置することで、リフォーム後の建物も長期間にわたって防水性能を維持できます。

リフォーム時には、既存の建物の構造や材質によって、防水工事の方法や使用する材料が異なる場合があります。そのため、脱気筒の設置も個々のケースに合わせた調整が必要です。特に、リフォーム後の建物が新築時よりも気密性が高まる場合には、脱気筒の役割がさらに重要となります。

屋上のメンテナンス方法

こまめに掃除する

屋上をこまめに清掃することで、防水層の破損や雨漏りの発生を防ぐ効果が期待できます。溜まった雨水を排出する排水溝が設けられていても、土埃や枯れ葉などのさまざまなゴミが屋上に溜まれば、それが排水溝を詰まらせてしまうでしょう。このような状況になると、雨水がうまく排出できなくなり、屋上に大きな水溜まりができてしまいます。

雨水が溜まることで防水層に負荷がかかり、その結果、寿命が短くなる可能性があります。また、劣化が進んだ防水層から水が浸入し、雨漏りを引き起こす可能性も否定できません。屋上は普段目にする機会が少ないものの、季節によっては数日で排水溝を塞ぐほどのゴミが溜まることもあります。そのため、排水溝の詰まりを未然に防ぎ、防水層の劣化や雨漏りを防ぐためにも、屋上のこまめな掃除が重要です。

防水塗料を定期的に塗り替える

防水層の劣化を抑える役割を担っている防水塗料は、時間が経つと表面にひびが生じることがあります。ひび割れが生じた箇所から雨水や紫外線が侵入し、防水層の劣化が進行してしまうでしょう。

塗料によって耐用年数は異なりますが、耐用年数を超えると劣化や破損が生じやすくなり、防水層を十分に保護できなくなる可能性があります。

ただし、耐用年数を過ぎていなくても、屋上の環境や外的要因によって破損・劣化が生じます。そのため、塗料の耐用年数を目安にしつつ、防水塗料に何かしらの異変が生じた際は、すぐに専門業者に相談して塗り替えるようにしましょう。定期的なメンテナンスを行うことで、防水層を長期間にわたって保護し、建物全体の耐久性を向上させられます。